糖尿病と悪魔のタッグを組んであなたに悪さをしてくるタバコにたった一人で立ち向かおうとしていませんか。
はじめに
糖尿病は腎不全、血管の病気、歯周病の原因ですが、タバコも同じくこれらの病気の原因です。
糖尿病だけ、タバコだけに比べて二つが合わさることで発症率が上がります。
タバコをやめるメリットはたくさんあります。
ただ、タバコは依存性が強くて、知っていても止められない、禁煙に失敗したという人も多いです。
やめるときに注意することもあり、今のうちに知っておくと禁煙中に困ることを減らせます。
知識をつけて禁煙を安全に成功させましょう。
対象
タバコをやめたい方、過去に禁煙に失敗して自分のせいにしている方 にとっては特に知っておくと役立つお話です。
悪魔のタッグ 糖尿病とタバコ
タバコは糖尿病になる危険性を高めてしまいます。
ですので、糖尿病の方ではタバコを吸っている人が多いです。
糖尿病の方は、タバコをやめましょう、と言われた覚えがあるのではないでしょうか。
しかし依存性が強く、なかなかやめられないのでタバコを吸っている方もいらっしゃると思います。
糖尿病とタバコは悪魔のタッグを組んであなたの体を攻撃しています。
糖尿病の合併症はたくさんありますが、タバコもそれらを進行させます。
糖尿病神経障害、糖尿病腎症、足の壊疽、心筋梗塞、脳梗塞、歯周病。
これらは、特に糖尿病とタバコの両方との関連が強いです。
糖尿病だけ、タバコだけに比べて大幅にこれらの合併症になりやすくなってしまいます。
この悪魔のタッグの挟み撃ちに合うとより早く糖尿病の合併症になってしまいます。
糖尿病の方はそうでない方よりもタバコの攻撃によるダメージを防ぎたいんです。
タバコをやめるメリットはたくさん
タバコをやめるメリットはたくさんあります。
タバコを吸う人にとっては当たり前すぎて意識していないものもあるかもしれません。
タバコを吸うのにどれくらい時間をかけていますか。
吸っている時間、仕事、作業などができなかったり制限されたりしていませんか。
1本あたり5分でも20本で100分間です。
1箱20本吸う度にあなたの貴重な100分間が奪われています。
1日1箱、1ヶ月で30箱タバコを吸う人は3000分、約50時間タバコを吸っていることになります。
また、屋内で吸える場所が少ないため、吸っても良い場所への往復の移動時間もかなりかかるのではないでしょうか。
タバコと縁を切ることでこの時間が自由になります。
私はこの自由な時間が増えることが最大のメリットだと思っています。
タバコを吸う時間をなくしてあなたが本当にしたいことをする時間に変えてみてください。
また、タバコの代金が掛からなくなるのもメリットです。
1箱500円として計算すると、1日1箱で1ヶ月に1万5000円、年間で18万円くらいかかります。
さらに、タバコによって病気になってしまったら、それに対して医療費がかかります。
タバコをやめると、今かかっているお金も将来かかるかもしれない医療費も減らせます。
その浮いたお金で本当に手に入れたいものを手に入れられます。
タバコは肌の老化にも関与しています。
乾燥肌にもなりやすくなります。
タバコをやめることでこの老化のスピードを元に戻せます。
また、受動喫煙はフィルターを通して吸う人よりむしろ悪い影響を受けてしまいます。
換気扇を回す、ベランダで吸うなど気をつけていても家族への影響は0にはできません。
受動喫煙による健康被害をなくせば家族など大切な人の命を守れます。
親がタバコを吸っていると、それをみている子供も将来2−3倍タバコを吸いやすくなることもわかっています。
タバコは火事の原因としても多いです。
家族や職場の仲間の命を直接的に奪う原因にもなります。
タバコを不適当な場所に放置することによる火事が多いようです。
タバコを吸っている限りは放置するというミスは完全には無くせません。
しかしタバコをやめると完全にそのリスクを無くせます。
他にもたくさんありますが、最後に一つ大きなメリットをお伝えします。
それは、依存性のある物質をやめられたという経験、実績です。
これを難しい言葉で自己効力感と呼びます。
自分はやればできるんだという実感が得られます。
この自己効力感は糖尿病自体の治療を成功させるためにも有効です。
知識を得て、成功しやすい方法を自分で選んで、実際に行動に移して、それを成功させて、さらに維持できるんだ、という経験はタバコをやめるにも糖尿病の治療にも肥満の治療にも、共通して効果があります。
何より、関わった人全員がとても嬉しいです。
ぜひ、禁煙を成功させてこれらのたくさんのメリットを得てください。
成功率の高い科学的に正しいタバコのやめ方
禁煙はぜひ成功率の高い方法でやっていただきたいです。
タバコを吸ってしまうのは、物質依存症という病気と考えられています。
病気なので、これまでに失敗したとしても不思議ではありません。
特に、禁煙を頑張るぞという意志の力だけで禁煙を成功させようとするのはとても難しいです。
ニコチンはアルコールよりも依存症になる人の割合が高いです。
病気なので、科学的な知識を総動員して治療することで成功率が上がります。
ポイントは、禁煙外来を行っている専門の医療機関を利用することです。
禁煙外来を利用することで、禁煙を補助するのに最適な薬剤を選んで使用することができるようになります。
また、数多くの禁煙を成功に導いてきたサポートスタッフがいます。
そのスタッフは同時に、失敗もみてきています。
失敗したときに、再チャレンジをサポートする方法を知っています。
失敗しても責めたり、あなたのせいにしたりせずに、たくさんの選択肢からあなたにぴったりの方法を何度でも考えてくれます。
禁煙外来での治療は健康保険が使えます。
ですので、市販の禁煙薬を買ったり、書籍を買ったりするのに比べてむしろ金銭的な負担は少なくなることもあります。
自己負担が3割の方では、3ヶ月程度の治療で1万3000円から2万円ほどです。
これは、タバコ代1ヶ月分から2ヶ月分くらい、という方が多いのではないでしょうか。
それくらいの値段で禁煙の成功率を上げられるので、ぜひ利用してみてください。
貼り薬、飲み薬のどちらかを使用しながら、専門家と一緒に治療することで、成功率が3から4倍高まります。
禁煙補助薬の副作用など禁煙に伴う、よくあるトラブルも禁煙外来ならその対応に慣れています。
禁煙に成功すると、時間やお金などのメリットが大きいので、それらの成功率を高める禁煙外来の利用をぜひ検討してみてください。
やめるときに気をつけること
禁煙するときに、体重が増える、血糖値が上がるのを気にされる方がいます。
これらの禁煙の副作用は一時的なものなので長い目で見ると禁煙は血糖管理や体重管理に悪くはないということがわかっています。
一時的に体重が増えたり血糖値が上がる原因としては、タバコをやめることで食べるものの味がしっかり感じられるようになり、美味しいと感じてそれまでより多く食べてしまうことが主な原因として考えられています。
実際に、人によってはそのようなデメリットが強く出てしまい、体重が急に増えてしまったり、血糖値が高すぎたりして困ってしまうことがあります。
ですので、その対策をお伝えします。
禁煙に伴う体重増加や血糖増加を起こさないようにするコツ、
それは、禁煙で浮いたタバコ代と自由に使えるようになった時間の一部を運動のために使って欲しいということです。
特に、時間があるというのは運動習慣を作るのにぴったりです。
運動ができない、という方の多くは時間がないために運動ができていません。
禁煙して時間とお金が余ったからといって、そこで食べる方に使ってしまうと体重が増えて、血糖値も上がります。
禁煙+運動はストレスの管理においてもとても相性が良いです。
運動を楽しんだり、運動をいかにうまくするかに没頭することでタバコのことを考えるのが減ります。
タバコを吸いたくなったら運動する、これまでタバコを吸っていた時間を運動の時間に置き換える、これまでタバコに使っていたお金を運動の環境を整えるのに使う、などがオススメです。
タバコ代を浮かせて、素敵なシューズやウェアを着て、運動してください。
ダンベルを買ったり、ジムに通って効果の高い運動をしてください。
YouTube動画紹介用PDF
印刷物でこの動画を紹介してくださる方はこちらのpdfをお使いください。
まとめ
糖尿病とタバコが攻撃するところは似ていて、悪魔のタッグを組んで襲ってきます。
自由な時間、使えるお金、家族の健康を守り、自己効力感を得られるなどタバコをやめるメリットはたくさんあります。
禁煙外来という専門の医療機関で、禁煙のサポートのプロフェッショナルの力と禁煙補助薬を使って成功率の高い禁煙を検討してみてください。
体重や血糖値に悪影響が出ないように禁煙と運動をセットで行ってください。
糖尿病とタバコに一人で立ち向かって失敗してきた方、次からはぜひ強力なサポートを使いながら禁煙にチャレンジしてみてください、何度でも。
以上です。
最後まで見てくれてありがとうございました。
参考文献・参考書籍
【参考書籍】
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記事は慎重に作っておりますが、目の前にいらっしゃる医療スタッフの方々に、この記事の内容がみなさまの状況に当てはまるかどうかを確認していただけますと幸いです。所属する施設・団体・組織と関係なく医師資格と糖尿病専門医資格を持った個人として情報を発信しております。十分な注意を払って情報を発信しております。しかしながら情報の正確性、確実性、有用性、適時性もしくは完全性について責任を負うものではありません。万一、情報を利用した結果、利用者に不都合や不利益が生じることがあっても、責任を負えませんので、慎重にご利用ください。情報は、健康・疾患・医療に関する一般的情報を提供するものであり、実際に診療にあたる医療従事者や指導者が行なうアドバイスに代わるものではありません。健康・疾患・医療に関する一般的情報は、必ずしもすべての方にあてはまるとは限りませんのでご注意ください。
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