今さら聞けない!糖尿病の食事の治療を理解する!【糖尿病専門医が解説】

糖尿病
食事

その食事療法、いつまで続けられますか?

糖尿病治療の基本である食事療法ですが、うまくいっていますか?

 本屋さんに行ってもインターネットで検索してもいろんなことが書いてあってどの食事療法をすれば良いのか分からない方もいると思います。
 地域も文化も味の好みも体質も違うたくさんの人に共通する唯一の正解がまだ見つかっていない、というのが今の状況です。
 かといって、なんでもいい、どうでもいい訳ではないので、ある程度わかっていることをお伝えします。


 そんな中でどのように食事と向き合っていけば良いのかを糖尿病専門医として整理して、この記事に詰め込みました。

食事療法で最も優先すべきこと

私が患者さんに食事療法のお話をするときに、繰り返しお伝えする最も優先すべきことがあります。


この最優先事項を知らずに開始してしまうと失敗する確率が高くなってしまいます。
逆に、この最優先事項を守ることで、高い確率で食事療法が成功します。


その最優先すべき事項は、長く続けられる食事療法の仕組みを作るということです。
食事療法に失敗してしまうのは、意志の力ややる気だけでやろうとしてしまうパターンが多いです。

”今日からとにかく頑張るぞ”は失敗しやすいです。


継続しやすい仕組みをいかに作るかが大切です。
自分がイライラしているとき、嬉しいとき、悲しいとき、眠たいときでも続けられる仕組みがあれば継続できます。


悪い食習慣をなくすポイントは、食べ始めるまで飲み始めるまでをいかに面倒臭く、時間がかかるようにするかです。


例えば、ビールを減らしたい、という場合には、まず家にビールを置かないことです。


本気を出して近くのコンビニまでいけばビールが飲めるじゃないか、と思いますが、それまでに服を着る、財布を持つ、靴を履く、移動する、ビールを手に取る、レジに持っていく、会計を済ませる、また移動する、靴を脱ぐ、また着替えるなどとても多くの手間と時間がかかります。


こんな手間をかけてでもビールを飲みたいくらい、どうしても飲みたいときだけ飲むのはOKです。


制限が厳しすぎると続かないので、あくまで、家にあるからついつい飲んでしまう、を減らすだけで良いのです。

とうすけ
とうすけ

どうでしょう、これだけで減らせそうではないですか?


逆に、食べた方が良いもの、飲んだ方が良いものはすぐに食べ始められる、飲み始められるようにしておくのが良いです。
ビールの代わりに水や炭酸水を飲むようにする場合は、いつでも水か炭酸水がちょうどよく冷えていて、飲みたいと思ってから10秒以内に飲める、という環境にすると良いです。


こうやって、食べない方が良いもの、飲まない方が良いものは、出来るだけ手に取るまでの手間を増やして、逆に食べた方が良いもの、飲んだ方が良いものはすぐに手に取れるように環境を整えてみてください。


やる気だけで頑張っていて失敗している方、今後はやる気ではなく仕組みを考えてみてください。

極端な食事療法はギャンブル?

いろんな媒体で、食事療法の情報が手に入ります。


その中には、個人の体験談や個人の考えによる情報もたくさん混じってしまっています。

◯◯だけ食べ続けたら◯◯が治った。

◯◯は毒で◯◯という病気の原因だから絶対に食べてはいけない。

など極端な表現をしている食事療法は、派手な見出しで目立って記憶にも残りやすいのでメディアにも取り上げられやすいです。


どのような食事が安全なのか、血糖値を上げにくいのかに関しては、厚生労働省や日本糖尿病学会が、日本のみならず世界中の食事と健康に関する研究結果を吟味して、その解釈の結果をまとめて公表してくれています。


少し難しい表現で記載されていたり、その人ごとに適切な食事内容が変わってきたりするので、独学でやるのは少し難しいかもしれません。


難しいという理由であきらめないでください。
食事療法を始める際にはこれらの情報と基礎知識を持った管理栄養士などの医療スタッフにあなたの食事をどうしたらいいか教えてもらったら良いのです。


その際にはあなたの生活スタイルの中で無理のない方法を提案してくれます。
なんとか早く血糖値を良くしたいという思いで一人で考えて先ほどの極端で派手な食事療法に走るのはあまりしない方が良いのですが、魅力的に見えてしまうのも仕方ないです。


その場合は、どのような情報源を元にどんな方法で食事療法を行なっているかを、あなたの体のことをよく知っているかかりつけの医療者にも教えてあげてください。


合併症の程度や使っている薬などは個人差があるので、他の人には悪くなくてもあなたには害があるという食事療法もあります。


医療者もあなたが正しいと思ってやっている方法を止めることまではあまりしたくないのですが、情報としてはぜひ知っておきたいです。


怒られるかも、と思って医療者に内緒にして極端な食事の方法を続けるのはやめたほうが良いです。
みんなで同じ方向に向かって治療を進めていくためにも、ぜひ教えてください。

食べ方にもコツがある

同じものを食べる場合でも食べ方にはコツがあるので解説します。
血糖値を上げやすい食べ方は、ご飯、パン、麺、砂糖などの糖質から先に食べることです。また、早食いも血糖値を早く上げてしまいます。
さらに早食いは、満腹中枢からのお腹いっぱいですよという信号が出されるより前にどんどん食べてしまうので、たくさんの量を食べてしまいやすいです。

とうすけ
とうすけ

血糖値を急激に上げにくくするための食べる順番ですが、食物繊維脂質タンパク質が多いものから先に食べて、後半に糖質が多いものを食べるようにした方が良いです。

また、ゆっくり食べるためには、よく噛むこと、少しずつ口に運ぶこと、時間を測ってみることをお勧めします。
よく噛まないと食べられないメニューにするのも一つの手段です。
スプーンを小さいものにしたり、わざと利き手ではない方で食べたりするのもつい早く食べてしまう場合には有効です。
実際に、食べ始めから食べ終わりまでの時間を測定したり、録画したりしてみて、次のときによりゆっくり食べる方法を考えてみるのも良いでしょう。

食事療法初心者は残すことを怖がらないで良い

食べ物を残すなんてもったいない、という方は少なくありません。


私も残さないように食べています。


前もって少ない量を準備すればいいじゃないかと思いますが、つい買いすぎる、頼みすぎる、いつの間にか多い量が準備されることってよくありませんか。


このたくさん準備しすぎたという時に残すかどうかですが、食事療法を始めたばかりの頃に限っては、積極的に残すのもいい方法です。


適正な量が100だとして、200食べていた人は、食事療法を始めてからも、つい200くらいの食事を準備してしまいがちです。


特にこれまで多い量の食事を準備してくれていた人が良かれと思って200の量の食事を準備してくれることもあると思います。


このとき、残してはいけないと思うと、200食べてしまいます。


これではいつまで経っても200準備されて200食べるが続いてしまいます。


ここから逃れるために、勇気を出して、”残す”という方法があります。


この1回だけをみるともったいない、と思う方や申し訳ないという気持ちになる方もおられるかもしれません。
その気持ちや考えは素晴らしいです。


その気持ちを忘れずに、本当の意味で無駄をなくすには、残した次の食事からは最初から適切な量だけを準備するようにすれば良いのです。


元々、余分に食べていた分は、尿の中に糖として捨てられたり、必要以上に脂肪として体に蓄えられたりしていました。


それが、毎日、毎食だと、3×365日で、1年間に1095回、無駄に多く食べていたということになります。
この、”残す”勇気があれば、その1年1095回、10年で10950回、50年で54万7500回の無駄な多過ぎる食事が、勇気を出して残した1回だけで済むかもしれません。


ですので、積極的に残して次の食事から適切な食事量にすることを怖がらないでください。


外食では決まった量が出てきてしまうことがあります。
このような時は、最初に自分が手をつける前に多すぎる分を誰かにあげるようにすると、無駄がなくなります。
この、前もって”残す”方法は、もらった人も喜んでくれるのでお勧めです。


一人で外食する場合は注文の際に少なめに変更してもらいましょう。
同じ料金なのに減らすなんてもったいないと思わなくて良いです。
多く食べ過ぎても、高血糖と、尿糖と、余分な脂肪になるだけです。

何キロカロリー食べたらいいの?

一体どれくらい食べたらいいのか、についてお話しします。
生物は動かずにずっと眠っていても生命維持のためにエネルギーが必要です。
これを基礎代謝と言います。
基礎代謝は体が大きいほど大きくなります。
なので、どのくらいの体の大きさを目指すのかによって必要なエネルギーの量が決まってきます。
どのくらいの大きさを目指すと良いでしょうか。
太り過ぎ、痩せすぎにならないよう、適した体重を目標にします。
身長が高いほどちょうどいい体重は重くなりますので、身長からその適切な体重を割り出します。
65歳未満だと、

身長(m)×身長(m)×22

くらいを目安に目標体重を決めます。


65歳以上だとそれより少し多くて、

身長(m)×身長(m)×22〜25

を目安に目標体重を決めます。


この体格に合わせた基礎代謝だけでは、エネルギー摂取は不十分です。


全く動かないことはほぼないと思います。


その場合は、その活動に使うエネルギーの分は増やさなければなりません。


この活動の程度は、その人の労作の状況によって3段階に分けることが多くて、真ん中の普通の労作というのは、座っているのが中心で、通勤、家事、軽い運動を含んでいる、というレベルです。


それより動いていないと軽い労作、それよりよく動いていると重い労作になります。
先ほど計算した目標体重に、

軽い労作の場合は25〜30、普通の労作の場合は30〜35、重い労作の場合は35以上を掛けます。

例えば、身長165cm、50歳、普通の労作の方の計算をしてみましょう。
身長1.65(m)×身長1.65(m)×22=約59.8kgが目標体重です。
それに普通の労作ですので、30〜35を掛けます。
すると、1796〜2093kcalが1日の摂取エネルギーの目安になります。
身長、年齢、労作レベルから摂取すべきエネルギーの目安を知って、目標体重に近づけていきましょう。

糖質はどれくらい摂取したらいい?

ここからは各栄養素についてお話します。
まず、糖質です。
糖質は、白米、小麦、砂糖をイメージしてください。
炭水化物から食物繊維を除いたものが糖質です。
食物繊維からはエネルギーをほぼ得られませんので、炭水化物でエネルギーを得られるのは糖質だけです。
厚生労働省の日本人の食事摂取基準2020年版には、

総エネルギーの50〜65%を炭水化物からのエネルギー量にする

と定められています。
糖尿病治療ガイド2020では、

初期設定としては炭水化物からのエネルギー量を40〜60%にする

と記載があります。


これを超えて、例えば総エネルギーの70%以上を糖質から摂取しているよ、という場合には、減らすのが良いでしょう。
もし、総エネルギー量がオーバーしている場合は、単純に糖質を減らしてください。
総エネルギー量は適正だけど、栄養素の割合に偏りがある場合は、糖質の代わりにその不足している栄養素に置き換えてください。

タンパク質が不足するとどうなる?

不足しがちな栄養素はタンパク質です。
タンパク質は、鶏のササミや牛肉の赤身の部分をイメージしてください。
英語ではプロテインと言います。

タンパク質は、少なくとも毎日体重1kg当たり1.0gはとりましょう。

体重が60kgの方は毎日60g以上は摂取してください。
タンパク質が不足すると、体を作る材料不足になります。


中でも、材料不足になると困ることになりやすいのは筋肉です。
筋トレだけをしても筋肉は大きくなりません。


筋トレに加えて、材料であるタンパク質も必要です。
タンパク質が不足していると、筋肉が小さくなり、筋力が落ちていってしまいます。


筋力というと、自分はスポーツをするわけではないし、ボディービルダーになるわけでもないから関係ないと思う方もいるかもしれません。
しかし、筋肉は全ての人間の生活と健康を維持するために必要です。


特に、歩く力やこけそうになったときに瞬時に踏ん張ってこけないようにする力が落ちて、こけてしまうと生活と健康を失いやすくなります。
運動はしているけど、足が細くなってしまうという方は、タンパク質の摂取量を見直してみてください。


タンパク質を取り過ぎたらいけない病気があります。
それは腎不全という腎臓の病気です。

腎臓の力が落ちてきている場合はタンパク質を制限した方がいいかもしれませんのでかかりつけの医療機関で相談してください。

アブラは悪者?

脂質は効率的にエネルギーを摂取することができ、美味しいと感じやすい栄養素です。

糖質もタンパク質も1グラムあたり4kcalですが、脂質だけ1グラムあたり9kcalと倍以上あります。

美味しい上に少ない量でたくさんのエネルギーを摂取してしまうので、食べ過ぎて体重が増えてしまった方にとっては敵のように思ってしまっているかもしれません。
しかし、脂質は適正量なら食べても大丈夫です。
目安としては全部のエネルギー量の25%くらいまでにして、それを超える場合は、脂の種類を選ぶように工夫するのが良いです。


脂の種類は大きく分けて二つあります。


飽和脂肪酸不飽和脂肪酸です。


飽和脂肪酸は常温で個体です。
焼肉屋さんで出てくる牛脂をイメージするとわかりやすいです。
乳製品や魚以外の動物の肉などに多く含まれる動物性脂肪の飽和脂肪酸は控えめにする方が良いので、脂質を摂り過ぎている場合は減らしましょう。


もう一つの、不飽和脂肪酸は植物や魚に多く含まれる脂で、常温で液体です。
リーブオイルをイメージしてもらうとわかりやすいです。


体内では作り出せない必須脂肪酸という大事な成分があり、全く摂取しないと皮膚炎を生じることもあります。
この必須脂肪酸は不飽和脂肪酸の中に含まれます。
植物や魚のアブラは適切に摂取した方が良いのです。
このようにアブラは全てが悪者というわけではないので、極端に摂取量を減らし過ぎたり逆に多すぎたりしないようにしましょう。
特に、動物性脂肪の飽和脂肪酸を摂りすぎるのは避けた方が良いです。

ビタミンが不足するパターンを知って欠乏症にならないようにする

ここまでお話しした、炭水化物、脂質、タンパク質は3大栄養素と呼ばれます。


次に、5大栄養素のうち残り2つのお話をします。
5大栄養素は3大栄養素にビタミンミネラルが加わります。


ビタミンの役割は代謝を助けることです。
ビタミンは、摂取するのが少なすぎると悪いことが起こることがあります。


胃の病気や胃の手術でビタミンB12が不足することもあります。


薬の副作用でビタミンが不足することもあります。


妊娠中は、葉酸の必要量が増えるので、多く摂取しないと不足します。


食事をほとんど摂らずお酒ばかり飲む、ある食品だけを食べる極端な食事療法やある食品を完全に除く極端な食事療法をしている場合にはビタミンが不足することがあります。


ではどのようにしてビタミンが不足するのを予防したら良いでしょうか。


ビタミンと言っても、種類が多く、自分にはどのビタミンが不足しているのかというのを正確に把握するのは難しいです。


そこで、食生活のプロである管理栄養士の方に見てもらう方法をお勧めします。

三大栄養素だけなら独学で管理できる方もおられますが、ビタミンも適切に摂ろうとなると途端に難しくなります。


あなたの持っている病気、飲んでいる薬などと今食べているもの、飲んでいるものを伝えて、管理栄養士と一緒に食事を見直してビタミン不足にならないようにしてください。

ミネラルってなあに?


次はミネラルです。


ミネラルとは、酸素、炭素、水素、窒素といった体に多くある有機物以外の無機質のことです。
神経や筋肉を適切に働かせたり、赤血球の材料の一部になったり、骨や歯の材料になったり、それぞれに役割があります。
体で作ることができないので食べたり飲んだりしないと不足してしまいます。


日本人の食事摂取基準2020年版ではナトリウム、カリウム、カルシウム、マグネシウム、リンの5種類多量ミネラルに、鉄、亜鉛、銅、マンガン、ヨウ素、セレン、クロム、モリブデンの8種類微量ミネラルに分類しています。


ミネラルというとミネラルウォーター類を思い浮かべますが、特にミネラルを多く含んでいなくてもミネラルウォーター類に入りますので、ミネラルの補充には使いにくいです。
農林水産省 ミネラルウォーターの品質表示ガイドライン
ミネラルの中で、摂り過ぎない方が良いのは、ナトリウムです。
食塩に多く含まれていて、摂取量も食塩相当量で示されています。

ナトリウム×2.54で食塩相当量が分かります。

食塩の摂取が多すぎると、血圧が高くなってしまいます。

高血圧や慢性腎臓病の方は、1日6g未満、そうでない成人男性では7.5g未満、成人女性の場合は6.5g未満が基準になります。


ミネラルの量を調整してくれるのは腎臓
です。
腎臓の力が落ちるとミネラルの調整が難しくなってしまうので、血液検査でチェックしながら摂りすぎているミネラルがあれば食事の内容を調整していきます。


糖尿病の方で特に不足しやすいのは亜鉛という微量ミネラルです。
ミネラルが多過ぎたり、不足したりしないようにするのは簡単ではないので 、やはり食事の見直しを管理栄養士と一緒に進めるのが良いと思います。

食後血糖値の上昇を抑えて血清コレステロール値も下げる栄養素とは

5大栄養素とは別に、もう一つ栄養素のお話をさせてください。
5大栄養素の次、6番目の栄養素である食物繊維です。

とうすけ
とうすけ

食物繊維を1日20g以上とることが糖尿病の予防に役立つことがわかっています。

さらに、悪玉コレステロール値も食物繊維を適切に摂ることで下がることがわかっています。


では、食物繊維ってなんでしょうか。
炭水化物から糖質を除いたものが食物繊維です。


糖質は体の中に吸収されてエネルギーになります。
食物繊維は人間の体内には吸収されずに、腸内細菌のエサになります。


我々に役立つ働きをしてくれている腸内細菌を増やしたり維持したりするために役立ちます
日常生活で安定して摂取しようという方におすすめなのは、白米を玄米に変えることです。
いきなり全部を変えるのは難しいと思いますので、まずは白米2:玄米1程度から開始してみると良いと思います。
慣れたら玄米の割合を少しずつ増やしてみてください。
逆にお口に合わない時は無理せず他の食品をお試しください。
海藻類、きのこ類、野菜、豆、果物にもたくさん含まれています。

何から手をつけたら良いかわからない場合に使って欲しい便利なサービス

食事療法は、たくさんの項目があって難しい、何から手をつけたら良いか分からないという方も少なくないでしょう。


そういう方は、宅配食をお試しで何ヶ月かお願いしてみてください。


実際に届いたものを食べてみることで、品目や量、味付け、満足具合を実体験を通して知ることができます。


食材とレシピが送られてくるものから、冷凍でほぼ完成したものが送られてくるものまで、自分にあった宅配食の使い方を選ぶこともできます。


買い物、調理、片付けの手間、食材の余りなどを考えると価格の分だけの価値があるかもしれません。
また、料理が好きだという方でも、宅配食を何ヶ月か限定でお願いして、それを自分で作るための教材のような使い方をするのもオススメです。


例えば、1日1食、3ヶ月だけ宅配食をお願いしてみて、90食分のレシピを自分のレパートリーに加えることができます。


選択肢の一つとして検討してみてください。

まとめ

食事療法で最も優先すべきことは、継続できる仕組みを作ることです。


極端な食事療法の中にはあなたに合っていないものもありますので、医療者にどんな食事をしているのか伝えてください。

同じものを食べる場合も、順番や食べるスピードによって血糖値の上がり方が変わります。ゆっくり、糖質は後半に食べるのがコツです。


食べ過ぎてしまう方の中には、残してはいけないから食べてしまうという方がいますが、勇気を持って一度だけ残して、次から量を減らすようにしてください。


身長、年齢、活動量から自分の適切なエネルギー摂取量が何kcalなのか知っておいてください。


糖質は、全部のエネルギーのうち40〜60%程度の摂取を目安にしてください。糖質が多い方は減らすか、他の栄養素に置き換えてください。


タンパク質が不足すると、筋肉が小さくなってしまいます。少なくとも毎日体重1kgあたり1.0gは摂りましょう。ただし腎臓が悪い方は必ず医師に相談してください。


脂質は全部のエネルギーのうち25%までを目安に、それを超える場合は動物性脂肪を摂りすぎないようにしてください。


ビタミンは、お酒の飲み過ぎ、妊娠、胃の病気や手術、薬の副作用などで不足してしまうことがあります。どのビタミンが不足しやすいかを知って管理栄養士さんと一緒に食事を見直しましょう。


ミネラルのうち、ナトリウムは摂りすぎると高血圧になります。糖尿病だと亜鉛が不足しやすいです。


食物繊維は食後の血糖値も悪玉コレステロール値も下げてくれます。白米を玄米に置き換えるなどして1日20g以上は摂りましょう。


何から手をつけたらいいか分からない場合は、最初だけでも宅配食を利用して、どのような食事を食べたら良いかを体験しながら知りましょう。


食事は糖尿病の治療の基本ですが、幅広くて深い知識が必要なので理解することも継続することも最初は難しいかもしれません。


だからこそ、知識をつけて管理栄養士さんと一緒に見直していくのが楽しいはずですし、美味しい食事を楽しみながら続けられる方法が見つかり、さらに体重が減る、HbA1cが下がるなどの結果が出るととても嬉しいものです。


この記事をきっかけに食事を見直して何ヶ月、何年か後で良い結果が出たらぜひコメント欄で教えてください。


以上です。

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参考文献・参考書籍

【参考文献】

日本人の食事摂取基準(2020 年版) 厚生労働省

日本食品標準成分表2015年版(七訂) 文部科学省

【参考書籍】

糖尿病治療の手びき2020(改訂第58版)

糖尿病診療ガイドライン2019

病気がみえる vol.3 糖尿病・代謝・内分泌

糖尿病専門医研修ガイドブック

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